お母さんの結婚と子供の結婚観
結婚にまつわる母親の経験が、子供の結婚観に大きな影響を与えていることが、オハイオ州立大学の最新の研究で明らかになりました。若くして結婚した母親を持つ子供たちは、やはり10代後半~20代前半という早い時期に結婚したいという願望を持つそうです。
ただし、ここには条件があります。母親が若くして結婚していても、そののちに離婚したケースでは、子供たちは、結婚に対して、より慎重になっています。この結果について、研究論文の中心的な執筆者であるアメリカ国立科学財団大学院生リサーチフェローのRachel Arochoは「母親の失敗を繰り返したくない」という意識が働いているのだろうと、述べています。もっともArochoは、ここに肯定的な要素を見出そうともしています。お母さんの苦労する姿に学びながら、子供たちがより良い結婚に対して準備することができるかもしれないからです。ただ、このタイプの家庭で育った子供たちは「結婚」に対しては慎重ですが、若い年齢で「同棲」する率は高くなっており、この点についての分析も必要だと思われます。
一方で、離婚後に新しいパートナーと同棲関係に入った母親の子供たちは、自らが「結婚する」と考える割合が低いという結果も出ています。これについては「母親の姿を見て『結婚が恋愛関係にコミットする唯一の道ではない』と子供たちが考えるからではないか」と、共同執筆者のClaire Kamp Dush准教授が指摘しました。このタイプは、離婚後シングルで子育てをしたり、再婚する場合と比べ「結婚」そのものに対して、より否定的ないしは相対的な見方をもたらすようです。
これらの結果から何を読み取るかについては、更なる分析が必要です。ただ、親の結婚経験が、子供の結婚観に大きな影響を及ぼすことは確かであるようです。そう考えると、日本での非婚化、晩婚化、若者の結婚意欲の低下なども、単に若者の問題ではなく、親世代の結婚のあり方が大きく影響しているかもしれません。現実に様々な事情で両親の離婚を経験する子供たちも増えている中で、結婚に対する肯定的なイメージをどのように発信すべきでしょうか?非婚化、晩婚化を食い止める上で重要な論点だと思います。
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