「立憲民主旋風」はなし。リベラルの衰退がより鮮明に
報道などを見ると、ときどき「立憲民主躍進」などの見出しが踊っていますが、これはミスリードでしょう。改選前議席から3倍になったといいますが、単に「反自民」の象徴となることで民進党、共産党、社民党支持者の票が集中しただけのようです。しかも、リベラル全体としては得票率がかなり下がっています。
得票率推移をみると、今回は、自公が大勝した前回選挙と比較して、与党支持は、ほぼ横ばい。外交・安保など、保守路線の枠内での変化を求める層が微増(希望、維新)。希望は、民進の中の穏健右派に加え、維新の票をかなり奪ったことがわかります。
それに対して、共産、社民、生活に、立憲民主を加えたリベラル左派勢力の退潮が目立ちます。民進の時には中道右派の議員も含まれていたので、多少、支持のすそ野が広かったのでしょうが、明確にリベラル左派を打ち出した場合の支持層は3割弱にとどまることが明確になりました。安保法制、憲法改正などに対する態度では、テレビなど主流メディアと世論の温度差がますます広がっているようです。
保守票分散で生き延びたリベラル
この数字を見ると、立憲民主党も含めたリベラル左派は、むしろ退潮気味であり「野党共闘すれば勝てた」というのも眉唾です。むしろ、希望の存在によって割をくったのは、一部自民党候補と維新です。
例えば、菅直人氏が小選挙区の議席を奪還した東京18区を見ると、前回は
土屋正忠(自民)106143(45.8%)
菅直人(民主)89877(38.8%)
結城亮(共産)35699(15.4%)
であったのに対して、今回は
菅直人(立憲民主)96713(40.7%)
土屋正忠(自民)95667(40.3%)
鴇田敦(希望)45081(19.0%)
です。共産党が候補を取り下げたにもかかわらず、菅さんの票は微増にとどまりました。一方で、前回、土屋さんにまとまっていた保守票の一部が鴇田(ときた)さんに食われてしまい、結果的に菅さんが当選しました。
こうみると、野党分裂で与党が助かった選挙区もある一方で、保守票の分散によって助かったリベラル候補もいたのです。しかも、リベラル左派の支持者は高齢者に偏っているので、次第に、イデオロギー的な左派は時代遅れになっていくと思われます。
時代は、現実に根差した堅実な政策を競う保守二大政党時代に向かっているのかもしれません。
最近のコメント