パンダの繁殖と、母子間の愛情の大切さ
今朝(1月25日)、NHKの朝のニュースでパンダの繁殖が取り上げられていました。上野動物園のランラン、カンカンに始まり、パンダの妊娠、出産、育児はとても困難だというイメージがあります。実際に、パンダの繁殖は簡単ではないのですが、和歌山県の白浜動物園では、なんとこれまでに15頭の赤ちゃんが生まれ、しっかりと育っているそうです。とても印象深い取り組みでしたので、少し紹介しておきたいと思います。
パンダの減少に悩む中国でも、かなり以前から繁殖に向けた取り組みがなされていました。ただ、その取り組みは、パンダの繁殖期間が限られているため、メスが赤ちゃんを産んでから三か月ほどで母子を引き離してしまい、新たなオスとの交配に備えさせるというものでした。
白浜動物園でも、はじめは同様の取り組みをしていたそうですが、ある時、偶然、妊娠、出産の時期が遅くなってしまい、1年間、交配時期を伸ばしたことがあったそうです。その結果、生まれた赤ちゃんを、1年以上、お母さんパンダのもので育てさせることになりました。すると、その子供は、母親と引き離して育てたパンダと比べて、明らかに活動的で繁殖行動も旺盛だったというのです。現在では、そのやり方を中国も取り入れていると報じられていました。
母子間の愛情を強く結ぶことが、次世代の繁殖行動まで影響するというのは、人間にも通じることかもしれません。先日、紹介した調査でも、子供のころに豊かな自然経験、家族の体験を持っている若者ほど、結婚願望が強い、という結果が出ていました。
その観点から見ると、待機児童対策といって、早くから子供を預けられるような社会にしていくことは長期的に見て問題があるかもしれません。むしろ、多くのお母さんが「3歳までは自分で育てたい」と感じているように、母子がじっくりと愛情あふれる関係をつくれるように、安心して子育てできる環境を作ってあげることが大切です。
白浜動物園では、たくさんのスタッフが24時間、パンダの母子を見守ります。人間社会においても、三世代同居の推進に加え、地域コミュニティのつながりの強化や行政支援など、母子を見守る環境づくりを行うと共に、出産、子育てを経験した女性が、しっかりとキャリアを積み上げることが出来るような社会づくりも必要でしょう。いずれにせよ、赤ちゃんを連れているお母さんが、泣き声など、周囲に気を使わなければならないような社会は考えものです。
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