日韓国交正常化50周年を控えて

時事問題日韓関係

日韓関係では、少しずつ関係改善に向けた動きも見えていますが、残念ながら、国交正常化50周年にふさわしい祝賀ムードは、今一つ盛り上がっていません。良好な日韓関係を構築することは、相互の国益にかなうだけでなく、地域の安定と発展のためにも重要です。

実際に、安全保障一つをとっても、東アジア地域の将来は非常に不透明です。先日、北朝鮮が核の小型化に成功したと発表しましたが、これは隣接する日韓両国にとって大きな脅威です。表立って融和姿勢を見せる中国の潜在的な脅威も消えてはいません。米国を東アジアに引きつけておく利益も日韓両国に共通しています。

一般に隣国との関係は難しいものですが、困難な相手との関係をうまく構築することこそ外交の要諦です。そのためには共通目的を見出す必要がありますが、上記のように日韓の利害は、多くの場合重なります。50年前、多くの意見の相違を乗り越えて、国交正常化を実現できたのも、冷戦に対処するという共通の目標があったからでした。両国政府が小異を越える政治的決断を成したからこそ、冷戦期における安全保障体制が確立し、両国の経済発展をもたらしたのです。50年の節目を迎え、もう一度、日韓の協力関係がもたらした利益を思い出すべきではないでしょうか。

冷戦期と比べて、日韓関係が難しくなった理由の一つには、両国関係の「多層化」があると言われています。かつての日韓関係は、主に政治、経済分野における指導層に限定され、日本語が通じることもあって非常に良好な関係が築かれていました。また、韓国は独裁体制で、政府同士の関係さえ構築できれば、それで事足りたのです。しかし、現在では市民層の交流も盛んになり、お互いの情報が伝わりやすくなることで、却って感情的な誤解や反発も生まれやすくなっています。更に、韓国では民主化が進み、政府が国民世論やメディアの動向を無視できなくなりました。

以上の変化を考えると、現在の日韓関係を改善するには、お互いの国民同士の相互理解こそが鍵になってくるのではないでしょうか。実際に、韓国に赴任経験のある外交官や経済人などに話を聴いてみると、大部分の方が韓国人に好印象を抱き、最も暮らしやすい国だったと語る人も少なくありません。『昼は反日、夜は親日』という書籍もあるように、韓国人の多くも日本人に対する親近感を持っています。1500年以上にわたる文化的な交流もあり、両国の国民性には共通点が多いのです。歴史をめぐる認識の違いや相互不信を乗り越えるためにも、実際に心を通わせる交流を積極的に行うべきでしょう。

時事問題日韓関係

Posted by k. ogasawara


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