小学生までの豊かな体験が結婚願望を高める
平成28(2016)年11月1日付で、国立青少年教育振興機構から「若者の結婚観・子育て観等に関する調査」の結果が発表されました。
このレポートによると、小学生の時までの体験の豊かさが、結婚願望に一定の影響を与えることが明らかになりました。調査結果のポイントとして、以下の6つが挙げられています(筆者要約)。
1.小学生までの体験が多い人ほど「結婚したい」「子供がほしい」と思う傾向が強い。特に、友人関係、地域活動、家族行事などの「人間的なふれあい」が重要。
2.中・高校生の時に異性とのコミュニケーションを面倒だと思った人は「結婚したくない」傾向が強い。
3.H20(2008)年調査と比較して若者の結婚願望、子供願望は低下。ただし女性は「早く結婚したい人」と「結婚したくない人」に二分化。また子供に対する願望も女性は二分化している。
4.結婚していない理由のうちトップは「経済的問題」。第二位は「一人が楽」。
5.子供の存在について「生きがい」重視の価値観の方が、家族の「継続」性を重視する価値観よりも、結婚願望、子供願望と強く結びつく。
6.挨拶などの近所づきあいをしていたり、地域のつながりを肯定的にとらえる人の方が結婚願望、子供願望が強い。
ちなみに、小学生までの「家族行事の体験」が多かった人と少なかった人との結婚願望の差異をグラフにしました。
ある意味で、当然と言えば当然ですが、家族で一緒に過ごした楽しい体験が多ければ、自分も「結婚したい!」と思うでしょう。若者の結婚願望の低下は、大人世代に大きな責任があると言えそうです。
少なくとも「結婚は人生の墓場である」「亭主元気で留守がいい(古い…)」などと言っている大人を見れば「なぜリスクを背負ってまで結婚しないといけないのか」と疑問に思いますよね。年をとっても、手を繋いで歩いている老夫婦を見かけると、自然と嬉しくなりますが、そういった夫婦が増えていくことが、日本の未来を明るくする最も効果的な方法ではないでしょうか。
ちなみに「結婚していない理由」については、「経済的に難しい(あてはまる=63.7%)」がもっとも大きな理由となっており「一人が楽である(50.4%)」は第二位です。ただ「結婚願望」との関係で見ると、「一人が楽である」の方がはるかに強い相関関係を示します。
結婚していない理由に「一人が楽である」を挙げた人は「早く結婚したい」という割合が9.3%(とてもあてはまる)~21.8%(ややあてはまる)と極端に低くなります。逆に「一人が楽である」という理由が全く当てはまらない人の中で「早く結婚したい」割合は53.4%の高率です。
逆に、「経済的に難しい」を理由に挙げた人は、特に結婚願望が低いわけではありません(「早く結婚したい」が30%以上)。
つまり「結婚したいかどうか」は、それまでの人生において「人間関係の喜びをどれだけ味わってきたか?」で、ほぼ決まってしまうのです。
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